茶釜の滝訪瀑レポ 2007/09/15

 めんどうな前置きぬきでというかたは<当日レポ>へどうぞ!
■「茶釜が見たい!」
 見たい滝が何十とある状態ではそんなに強烈な願望は無かった。
東北地方きっての難攻滝といわれる。
百滝の中では(御来光)、(双門)、(七つ釜)が三大難攻滝と思っていた。
ところが現状(七つ釜)は災害で論外とせざるを得ない状態だ。
とすれば現状では(御来光)、(双門)、(茶釜)が三大難攻滝ということか?
遠望で良しとされていた(精進)、(中)から滝壷の報告が相次ぐと、(茶釜)は三大難攻滝の位置付けでよいのかと考えは巡る。
いづれにしても(御来光)、(双門)を踏破した現在「茶釜が見たい!」の願望はかつてなく大きくなってきた。
 そんな折、福岡のpokottonaさんからお誘いがあった。
pokottonaさんはすでに百選99滝を廻り(七つ釜の滝)を残すのみのベテラン。
私もこの(茶釜)に行けたら99滝踏破と並ぶことができるが(精進)、(中)の滝壷はまだである。
pokottonaさんも同様だ。
(中)は滝見尾根の途中までは行ったことがあるが、せめて滝見尾根の観漠台までは行きたいと思っていたら10月中旬にpokottonaさんが行くとのことなので同行約束ができた。
(精進)は、最近踏破してきたイチローさんが案内の約束をしてくれているのでいづれ叶うだろう。
9月8日と決めた(茶釜)が目前だ。
熊の出没が最大の心配事だが、地形の急峻な秘境なだけに全て油断はできない。
しかし、茶釜が見たい!
・・・と、滝の思い出ブログにも書いた。

■秘境、茶釜の滝・夜明島“沢ルート”
 2002/08/16踏破の「滝のギャラリー」(さすらいの滝人さん)によると(この滝は、訪れる人も少なく年間10人足らず。往復8時間の“山越えルート”、92本踏破の中でも2番目に厳しいコースであった。)と記されている。ちなみに一番目は(一番の秘瀑という奈良県天川村の「双門の滝」)と。
踏破者は自己体験を大袈裟に報告する傾向は否めないが油断は禁物だ。

 もうすこし定量的に調べてみた。
日本の滝百選の難攻滝は全て内陸にあり、アタック拠点標高を差引いた登山標高差は「茶釜の滝」や「七つ釜の滝」などは意外に低い。
難攻滝の登山標高差は・・・・
・「七つ釜の滝」530mー宮川発電所289m=241m(大台ケ原からでは1300mで論外)
・「茶釜の滝」“沢ルート”750mーアタック拠点夜明島看板500m=250m
・「双門の滝」1300mー天川村熊渡700m=600m
・「御来光の滝」1320mー関門スカイライン入り口632m=688m(おいわさんコースではない)
つまり
「茶釜の滝」は「御来光の滝」のおいわさんコースの一部であるガードレールをまたいで面河渓谷に降りる300m標高差よりも低いうえ水平距離は長く比べ物にならないくらいゆるい登山だ。
「双門の滝」と比較しても半分以下の登山標高差だ。
ということは
「茶釜の滝」“沢ルート”の登山する標高差は経験的に何の問題はない傾斜のはずだ。

■何が難しいのか?
 茶釜の滝は“沢ルート”と“山越えルート”がある。
最後の難関の茶釜の滝直前の梯子登りは共通のルートだが双門の滝のように延々と続く32箇所もの梯子ではない。
簡単にいえば3本の梯子だが角度の急な点は双門以上だ。
軟弱そうな梯子なだけにしっかり握って体重のふらつきを抑えるバランス感覚が要りそうだ。
双門の経験からは腕力は必要不可要件でなく梯子を登るのは脚力だ。
茶釜の滝は両ルートのうち“山越えルート”が無難とされている。
つまり“沢ルート”の方は遡上に危険が伴い難しいということのようだ。
確かに遡上は通常の登山路では少なく、かといって登山の土道は一切ないとは考えにくい。
写真で見る限り最後の難関の梯子の下の急斜面は登山の土道そのものだ。
ここを沢靴で登り降りは難しいだろう。
つまり全体として使う靴が重要ポイントということになる。

■靴の試用
 双門の滝から帰って以後、登山靴を使っているがそれまでの運動靴との差異は感じていない。
強いて挙げれば足首捻挫の危険性が少ないように感じられる。
最も危険を感じた濡れ岩の歩行は登山靴、運動靴ともに差異がないため、価格や可搬性から評価されている地下足袋を試用してみた。
地下足袋(千円)


地下足袋試用のようす(写真提供:金さん)


 結果は、シワガラの滝(兵庫県)、不動七重滝、ナル谷大滝(奈良県)で試用してみたが決定的に安全な感触は得られなかったうえ爪先の保護性が乏しかった。
また試用の際の同行者が使っていたスパイク長靴や鮎足袋のようすをみていると不便さは特段見て取れなかった。
そんな経験から茶釜の滝では鮎足袋を使うことに決めた。

 ポイントをいくつかあげると
安い千円くらいの鮎足袋は底がスポンジのため乾いた岩の歩行でスリップの危険があるようだ。
理由は吸い込んだ水を急激に底方向に放出するためで、一方フェルト底のものは放水が繊維方向(靴の横方向)のため緩和されるようだ。
鮎足袋(3〜4千円フェルト底)


 いずれにしてもスパイク付が濡れ岩や土道のスリップでより効果的のようだが2~3割高価だ。
総合するとスパイク長靴が現状ベストだが車移動でない私には携帯が困難で使ったことがない。

ちなみに今回のガイドの山口さんの所属する十和田八幡平観光物産協会ではスパイク長靴を推奨している。

■天候そして移動
 9月8日を茶釜の滝行きと決めた。
理由は2つ1つは同行Pokottonaさんの勤務都合、もう1つは航空券のバーゲンチケットメリット。
京都から秋田の移動手段は飛行機と決めて早々と6月中旬には予約を入れた。
pokottonaさん情報で各航空社のバーゲンチケットの特典活用。
通常航空券に比べても2万5千円も安くホテル代が浮くことになる。

 これは反面、当日の天候を運にまかせる山行きの常道を無視する無謀さを秘めている。
ところが9月にはいり台風9号秋田県上空を通過という最悪状態となって計画頓挫の危機。
バーゲンチケットの特典は?
台風影響では特典有効で胸をなでおろしたが今度はPokottonaさんの勤務都合がそんなに急ハンドルが切れないところ責任感旺盛なpokoさんが会社説得?で一週間遅れの9月15日。

 台風一過徐除に天候回復傾向だが、雨も覚悟で行くより道はのこされていない。
14日伊丹を発ち大館能代上空から見る鹿角方向はおおむね晴れ、大館能代空港着概ね晴れ。


 ホテルに入り先ず天気予報を見ると15日晴れとでた。
ばんざ〜い、pokottonaさんも夕方4時半到着。
長いBBS対話の関係の初対面同志。
風貌はおいわさんの御来光の滝レポ写真で想像していたとおり、
なかなかハンサムでかっこいい。(お世辞も少々(^○^))
早速お近づきに鹿角花輪名物のホルモン焼きで、乾杯滝談義で一気に解けあう。







■滝行き
 やっと当日滝行きレポ。
朝7時、道の駅「かづの」集合。
ガイドの山口さんの頑丈な4駆にのって夜明島渓谷を目指す。
夜明島渓谷へは鹿角市街から延々と10Km以上の林道を南下する。
途中分伎路もあるので独自に行く人はしっかり地図を頭にいれておくこと。
途中で道を訊ねる人に出会うチャンスなどまずない林道だからだ。
20分程で駐車スペース5〜6台の看板に着く。
めいめい身支度を整える。
 山口さんは、山男の典型的な風貌のがっしり体格でスパイクつき防水の本格的地下足袋とピッケル、リュック。

 pokottonaさんは渓流靴と軽いポーチのような肩掛けバッグと小さなリュツクのみの軽装でした。

山口さん「もう一足ありますが・・」とスパイクつき地下足袋。 これはいい機会と試着してみるがサイズ大きすぎで断念。
この日の私はリュック(三脚、コンデジ、携帯(カメラ)、水500ml*2、昼食おにぎり3個、あんぱん2個、タオル、バンダナ、手袋、笛、熊鈴、ボールペン、たばこ、携帯灰皿、雨に備え帽子・ヤッケ・スパッツ)速乾ズボン、長袖Tシャツ、網チョッキ。
通常の滝行き時と違うのは靴だけということになる。

7:30出発
いきなり3m程の小川を渡る。

 7:38(8分経過)
踏み跡のはっきりした土道の藪漕ぎの中の紫色の花。
山口さん「とりかぶと」と教えてくれた。
くわばらくわばら。


 ここから先色んな滝がでてくるが覚えきれない。
後であじゅさんのHP/ カリスマ研究所の写真と対比して書き出してみましたが自信はない。
間違ってたら教えてください。
 7:45(15分経過)
泊滝(とまりだき )
落差:20m 幅:3m 
 8:06(36分経過)
ハネ滝
落差:20m 幅:3m 
落差:10m
 渓谷最初の難関が泊滝と上のハネ滝越え。
なんとも複雑な梯子の上り下りと滝上のモンキースタイルの渡渉で眠気が一気にさめる。
歩くのは苦手だが、こういうアドベンチャラスなのって結構好き。(~_~メ)
滝上へ崖を伝うように巻いていく。
 8:16(46分経過)
夫婦滝(めおとだき)
落差:4m
 滝壷に流木が集積された斜めに岩肌を落ちる滝は間にスダレ状に水が落ち独特な形。
流木がなければな〜と惜しい景観だ。
遊歩道は滝を右側から巻くように落ち口の横を通る。
 8:23(53分経過)
虎ノ尾滝
落差:4m
 大きな滝壷で滝は細く勢いよく落ちている。
虎の尾?のようなしなやかさはみられないが・・。
 8:54(84分経過)
ミソギ滝
落差:4m
 夫婦滝からきた巻き道から見下ろす。
上段、下段は1mくらい。
 9:01(91分経過)
白布滝
落差:10m
 一枚岩の上を流れ滝前の大きな岩に当たって直角に曲がる。
 9:05(95分経過)
胎内クグリ
落差:??
 小滝の連続する連瀑帯
胎内クグリ
胎内クグリ
 10:24(帰路撮影)
前座滝
落差:10m
 雲上の滝側の谷と分岐した右側の谷に落ちる。
分岐から5分程度遡行すると茶釜の滝前の尾根へ上る梯子&ロープの少し上流に落ちる。
茶釜の滝の下流にあたる。
 10:25(帰路撮影)
梯子&ロープ
 前座滝の少し手前に、茶釜の滝前の尾根へ上るための梯子&ロープがある。
心配していた最初の土道の勾配はロープを掴んで地面に足を直角にしながら登るため鮎足袋でも滑らないで登れた。ロープなしでまともに登ったら滑るはずだ。
最初の梯子を登ると、尾根を回りこむようにトラバースして、茶釜の滝前の尾根に出る。 尾根を這うように梯子を上りきったところが滝正面となる。 要するに沢からクランク形に登るのだ。
双門の滝の梯子より角度はきついが時間的には5〜10分のことだ。
自分の体重を腕の力で引っ張りあげるような登り方は危険だ。
ロープの斜面も梯子もあくまで体重は足で押し上げる。
梯子はしがみつくと自分の足下が見えなくなるので手は体から離してしっかり梯子の桟を握って手足の三点が必ず付いた状態で一点だけを移動する。
 9:40(130分経過・滝前到着)
茶釜の滝
落差:100m
 三大難攻滝と言われてきた。
天候に恵まれたことや、遊歩道整備がすすみ思ったほどきつい行程ではなかった。
山口さんの話では来年は梯子整備の予算がとれそうだという朗報をきいた。
テラスは狭いが、我々3人では不便は感じなかったものの5人限界とみた。
尾根の前後は切り立った崖でいわゆる馬の背だ。
 滝が大きいので広角でないと全体は撮れない。
私はコンデジですから分割で撮って合成するつもりで撮ってきましたが滝上と滝下では逆光のせいもあり合成の苦労が目に見えています。
新緑と紅葉の時期がベストシーズンというが水量、天候がそううまく巡り合わさることは少ないでしょう。
特に水量は遡行の難易度と背反関係ですから今回は幸運な適度の水量だったと思う。
ちなみにこの翌日からこの地方では避難勧告が出る大雨でした。
 10:40
雲上の滝
落差:60m
 茶釜の滝の右谷とは分かれた左の谷に落ちる滝です。
分岐からは5分程度の遡行ですから是非見て帰りたい。
形はロシア人形や博多人形のように裾を慎ましやかにまとめている。
反面、水流は豪快です。
 10:54
 雲上の滝前で昼食をとった。
道すがら採取した山菜と茸で山口さんが味噌汁を作ってくれました。 美味しかったので2杯も頂きました。 おにぎりの味が倍加したことはいうまでもありません。 そして一杯の缶ビールの美味かったこと。


 渓流沿いの難関は岩場のボルトやロープ、鎖がよく整備されヒヤッとする場面はありませんでした。
鮎足袋の選択は間違っていませんでした。
膝まで浸かる水深の岩場でもスリップなく移動できました。
ただ流れの速いところではちょっとしたコツがある。
足を揚げずに摺足で移動することです。
足を揚げると足が流され重心移動して転倒するからです。

 木陰の小休憩もこの日の30度を越す下界から比べればユートピアでした。
歩行ペースは、ほぼ私のペースに合わせていただいた時間です。
もう少し早くても大丈夫でしたが綺麗な渓谷をスタコラではもったいないと思いました。
豪脚で有名なpokottonaさんはカモシカのように身軽に先を行き我々の渡渉ポイントを決めてくれました。
山口さんは所々でボルトの緩みや増し締めをピッケルで確かめながらの余裕はさすがです。
この人達がいるからこそ我々が安心して滝行きができるのです。
今や年間100人程が茶釜の滝を訪れているそうです。
帰路茶釜の滝への分伎点でpokottonaさんが
「もう一度茶釜見にいきましょうか?」
と冗談を飛ばした。
今になって、あのときすかさず「行きましょう」と言えばよかったと思っています。
贅沢は限りない、後の後悔先にたたずです。

 帰路は冗談飛ばしてルンルン気分。
沢歩きの要領もバランスが身についてきた。
いろんな花や茸、植物の話をきいたが所詮「花音痴」の我輩には豚に真珠、馬耳東風。

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<全行程総括>
・往路=夜明島の駐車場7時半出発>茶釜の滝到着9時40分=所要時間2時間10分
・滞在時間=9時40分茶釜の滝>雲上の滝>昼食11時20分=1時間40分
・復路=雲上の滝出発11時20分>夜明島の駐車場に帰還午後1時=所要時間1時間40分
・総所要時間=5時間30分

最後に
pokottonaさん、山口さん心温まるご案内ありがとうございました。
イチローさん、足まわり情報&祝TELありがとうございました。
金さん爛漫さん足まわりアドバイスありがとうございました。
んがおRさん「茶釜の滝レポ」参考にさせていただきました。
あじゅさん「夜明島渓谷の滝」参考にさせていただきました。

たのしく99滝目を踏破できました。お礼もうしあげます。m(__)m

「茶釜の滝訪瀑レポ」<完> 
滝の思い出Kaidosun2007/09/18記